さっきの出来事

 仕事場近くのそば屋へ、文庫本一冊抱えて、店に入る。
 家族の団らんと学生たちがにぎやかに夕食を済ませている。
 鴨南を頼んで、着席。ああ、とくにうまくもないいつもの味だ。コンビニ弁当食うのとどっちが良いのか、安くもない蕎麦をそんな考えを浮かべながら食うんだから、やっぱりうまくない。お勘定を済ませて外に出る。いくつかあるうちの路地を選んで、会社へ帰る。すると、声をかけられる。顔が良く見えない、認識できない……ひとことふたこと挨拶して立ち去る。音楽関係で知り合った子だ。名前と出会った場所がでかかる……そういえば……
 というところで、いま会社のソファーで目が覚めた。
 昨日、ひさびさの友人からメールが届いた、10代のときに一緒にイヴェントをやっていた子が数日前に亡くなったそうだ。今日お通夜、とりあえず、そういうことかもと思う。良かった思い出して。
 たまに会うと、音楽の話をして別れる程度の人だった。
 ぶっちゃけ、ものすごく仲がいいというよりも、若干苦手なタイプだったんだけど、でも会えば挨拶してくれるし、いろいろ音楽の話をしてくれる。いつもフライヤーをくれて、イヴェントにも誘ってくれた。そういう人が亡くなるというのは寂しい。苦手なタイプだとしても、そんなのは関係なく、自分が直接関わりのあった人が一生もう会えないと思うと、やっぱり悲しいんだと思った。
 
 とりあえずいつものそば屋に文庫本持って行こう。
 
記者Y:たまにはまじめに。K君の追悼の意も込めて。ご冥福を。なんかなぁ、最近俺霊感強いんかなぁ。

追記2:まだはっきりしたことはわからないんだけど、どうやら死因はアレらしい。なんか渋谷の通り魔に友だちが巻き込まれてザックリと刺されたり、今年はまじでいろいろあるなぁ。