泥酔胸キュン系

 9月だ。
 ゆらゆら帝国坂本慎太郎氏が「ぐだぐだになって泥酔したときの胸キュン系」という名言でディスコの魅力をインタヴューで言っていたときは「なるほど!」と思ってしまったわけでぇあります(ザ・ワールド!)。
 つうことで、あれです、今回は“ぐだぐだになって泥酔したときの胸キュン系”音楽を特集してみたいと思います。っていうか、特集もなにもゆらゆら帝国の『空洞です』(あるとき、某雑誌のHPには『洞窟です』だってよ、クククッ)はまさしくそんな感じなんで、とりあえずそこからいってみたらいいと思うんですけど、簡単に言うと泥酔して、顔がニヤーっと、金玉ダラーっと、なるようなしっかりとアレ(アレってすでに書いてあるから隠す必要もないんだが、やっぱり紳士淑女の読むブログを目指してるので駄目だ)が伸びた感じになるやつです。しかもそんなにダークでない感じで、あたまはキラキラなっ! ていう感じのやつ。なぎらっぽい顔になるやつね。こうあれだ、高田渡の名言「居酒屋で壁にむかってひとり飲んでるやつなんて!」って感じだ、否、あなたとは違うんです、って、自分でもなに書いてんだがよくわからないよ!!!

まずは

空洞です

空洞です

だ。さっき書いたからおいとこう。とくにラスト2曲の流れがすばらしいとおいらは思うわけだ。

ムーヴィーズ(紙ジャケット仕様)

ムーヴィーズ(紙ジャケット仕様)

お次、ドイツの変態テープ切り貼り爺、ホルガー・シューカイ先生。この人のソロはなんだか変な躁感のある作品が多くてこのアルバムもなんだかそうだ。日本ではCMでも使われた名曲“ペルシアン・ラヴ”を含むアルバムだが、このページでは“Cool In The Pool”だ。なんと言ってもだ。ドイツ・オヤジがちょっとウィスパーな感じで「プールに入ろう、熱いから、プールに入ったらちべたいぜ〜」なんて歌ってるんだが、シンセの音にしても、なんだか変な中近東のフレーズやらスライド・ギターみたいな音やらが出て来るわけよ。この心から爽やかとは言えないオヤジが歌う夏の歌って感じが良いんです。

Doldrums

Doldrums

お次、NYはブルックリンの動物奇想天外っていうか、わくわく動物ランド、ニュー・サイケ・フォークの雄、アニマル・コレクティヴのアリエルのソロ。これがね、もうゆるいのなんのって、テープがのびのびな感じでさ。ぶっ壊れたAMラジオで、絶妙なアイドルポップスが緩いテープスピードでかかっちゃう感じで。ハーヴィーの『サーカスティック・ディスコ』あたりにも近い狂気がフリっとはらんだ胸キュン系でありまして。あんたね、こんなの聞いてたら白昼夢バリバリでありますよ。さらっと聞くとかわいらしいローファイ・ポップ、ゆっくり聞くともうぐっちゃぐちゃ! 他にもアルバム出してるんだが、これを超えるものは個人的には出してないんだな、コイツぅ。

Roast Fish Collie Weed & Corn

Roast Fish Collie Weed & Corn

んでもって、泥酔胸きゅん系の大家といえばこの爺だ。リー・ペリー、ブラック・アーク時代最後にして、初の個人名義のヴォーカル・アルバム。歌なんて音はずれまくれ、声裏返ってても基本関係なし。牛は鳴くわ、ピョーンとか変なパーカッション鳴ってるわ、汽笛なってるわ。つうかアリエルの上のアルバムをレゲエ・バンドでやったらこうなるんでないかと。この作品かけただけで軽くスピーカーの前の空間がきゅいっと歪みますのでご注意を。同時期に録音のラス・マイケルのアルバム『Love Thy Neighbour』もかなりの泥酔系だが、ありゃ、ラスタマン特有のブルージーななのが出ちまってて、ここにはそぐわない(相当好きだけどね。「お父ちゃんにウィスキーうらないで」なんて言葉ではじまるアルバムは胸キュンじゃないわけだ)。あとは『Return Of Super Ape』でももちろん良いんだが、やっぱり胸キュンな感じはペリーの声に潜んでるってわけだ。アレだ、大事なものは声に潜んでるってやつだ。死ぬ! てめぇ、手に糞がついちまったじゃねぇか(←これは別に意味ないんだけど、書いてみたかった)。はぁ、ばっちいばっちい。

記者Y

PS:こんな元気よく書いてみてるものの、実際はCKBのせぷてんばぁ聴いて感情移入しまくりって話なんだけどねぇ。

せぷてんばぁ

せぷてんばぁ