あああああ、湿気が気持ち悪いでーすねぇ〜。

 
 もやっとしたデレイのかかった、もんもんとむっつりとしたテクノが聴きた〜い、食パンも食べた〜いというときに便利なドイツはミニマル・ダブの古典。いわば、いけいけなヤリチンなパーティとは逆方向の童貞的ベクトルが深いアナログ・デレイと結びついたテクノの古典、ベーシック・チャンネルのクラシックがCDで出し直し。それにしてもテクノ好きはみんなこの音にメロメロだよネ。

 前回のベスト盤『BCD』がエデットとミックスをし直した、12インチとは全くの別の作品で、いわば主題歌のレコード買ったら全然知らない奴が歌ってた(でもそれはそれでうまいからいいや!)という代物だったんですが、今回はフィリップスの“Phylyps Trak II/II”などなど、ベーチャンのクラシックがフル尺初CD化。とはいえ、レディアンスやクアドラント・ダブとか、そういう末期のほっこりクラシックが入ってないので俺的にはかなり減点なんですが、ほっこりと“Phylyps Trak II/II”が初期のあんまり人気のない曲とともに入ってるところ見ると『BCD3』が出るんじゃないかと思うんですがいかがでしょうか?
 
 とはいえ、お酒のお供にぜし。深ーい時間に、日本酒でベロンベロンになったダウナーな泥酔で、寝るか起きてるかの曖昧な頭、ずるっと記憶の輪郭が崩れ落ちる直前に鳴らし寝するとナイスです〜(エコー)。もちろんCDJやデータキャプチャー用途も。


BASIC CHANNEL『BCD-2』(GER)BASIC CHANNEL

 んで15年も前のレーベルのCDがなんで今頃かと言うと、もちろんディープコードとかエコースケープとかフォロアーが大人気だっつうのもあるんだろうけど、おそらく、いまやDJ系では最大手となった配信サイトのBEATPORTで、ついこの前、全カタログ・デジタル・マスタリングでリリースされたからだと思われます(残念ながらMシリーズとLYOT、PLOYなどのMaurizioとか姉妹、兄弟レーベル除外)。リマスタリングしたからついでにネ!ですよ。野球も良いけど、カレーもネ!ですね。

 そういえばもともとベーシック・チャンネルはドイツで城持ってる金持ちとその相方のレコード店店員のデトイロト・テクノ・オタクが金にものを言わせて作ったレーベルなので(悪い言い方をすれば)、NSCつうデトロイトのマスタリング工場のロン・マーフィーつうデトロイト・テクノ御用達の職人を使ってたんだが、ついこの前、そのおっさんがおっちんだわけであります(R.I.P.)。
 んで、そのNSCマスタリング、デトロイト・プレスのアナログ盤の粗野な感じと言ったら……。いわゆる金持ちが「意外と良いんですよ」とマスコミ向けに日常生活用品で庶民派を見せちゃう感じつうか、まぁあれですよ“味”っていう一言で片付けられてしまう感じ。そのフォロアーのほとんどが例えばポールとかその“味”まで“俺の味”みたいな感じでやっちゃうボンクラ・マインドもまた良いんですけどね(でもポールは嫌い)。おそらく、いまもそんなボンクラ・マインドはものすごいフォロアーを生んでるわけで。最近思ったんですが、クラブ・カルチャーつうのは90パーセントのパーティ野郎(セックス!ドラッグ!泥酔!ふて寝!)と10パーセントのボンクラが支えていて、ボンクラはかなりの少数なんだが、すばらしい強度でそのシーンを支えている気がします。

 んで、話戻りますが、その辺の“味”っつうのは今回のリマスタリングでどうなってるか知りたい人は上のBEATPORTで1曲買うとかどうでしょうか?


 
蛇足:この前、仕事でビートポートの副社長に会ったんだが、非常に若くてナイスな兄ちゃんでした(Tシャツがよく見たらメルトバナナ! 絶対にボンクラ!)。それにしてもなんで日本のIT長者ってあんなにも浅黒くて、ノータイのスーツばっかりなんでしょうか?